ED(勃起不全)治療薬として高い実績を誇るバイアグラ。
ペニスが勃起できなくて悩んでいる方で服薬を検討されている方も多いでしょうが、誰でもバイアグラを飲めるというわけではありません。バイアグラには使用禁忌というものが存在し、持病や内服状況によっては使うことが禁止されてしまうのです。
自分は使用禁忌に該当するのか気になる方のために、本記事ではバイアグラを飲んではいけない人について詳しく解説をしていきます。
バイアグラを飲んではいけない人
バイアグラの使用禁忌には様々な項目が設けられていますが、医師や薬剤師でもない限り、その中身まで熟知している方はいないでしょう。
バイアグラの入手方法は病院を受診して医師に処方箋を出してもらうしかありませんが、その前に自分が使用禁忌に触れていないか知りたくはありませんか?
バイアグラを服薬してアレルギーが出現した
過去にバイアグラを服薬した際、皮膚に発疹や痒みなどのアレルギー反応が出現した方は使用を控えてください。
1度アレルギー反応を起こすことで、体の中にバイアグラの抗体ができてしまいます。これにより、バイアグラを服薬することで再びアレルギー症状を引き起こすリスクが非常に高くなります。
また、バイアグラには青色2号等の添加物も配合されていることから、これらの成分にアレルギー反応を示す方も服薬ができません。
未成年
未成年者はバイアグラを服薬できません。なぜなら、バイアグラは成人(20歳以上)を対象に開発・製造された医薬品であり、未成年者が服薬した際の安全性を保証できないからです。
心血管系障害があって性行為が不当であると判断された
性行為は、皆さんが想像しているよりも肉体や臓器に負担をかけます。主に心拍数や血圧、心筋酸素消費量が上昇しますので、心血管系障害のある方は性行為中に何らかの異常が発生する恐れがあります。
6ヶ月以内に心筋梗塞や心不全、不安定狭心症などを発症したことのある方は特に危険ですので、バイアグラの服薬は禁止されるでしょう。
生命に危険のある不整脈を発した方も同様です。
重度の肝機能障害がある
肝硬変など重度の肝機能障害をお持ちの方も、バイアグラは服薬できません。
バイアグラの代謝が主に肝臓で行われます。そのため、肝機能に異常があり、代謝や便による排出が進まないことで、バイアグラの濃度が過剰になる恐れがあるのです。
その結果、身体に重篤な疾患を引き起こすリスクも否定できません。
低血圧あるいは治療による管理がされていない高血圧患者
バイアグラはPDE-5を阻害することにより、血管拡張作用が現れます。そのため、バイアグラを飲んだ後に血圧が低下する恐れがありますので、血圧が90/50mmHg未満の低血圧患者は更に血圧が下がる可能性を考慮して服薬を禁じられています。
また、下記のような高血圧患者も、バイアグラを飲んだ後に急激に血圧が低下して身体に異常が現れる恐れがあるので服薬できません。
- 安静時最高血圧170mmHg以上
- 安静時最低血圧100mmHg以上
硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤を使用中
血管拡張作用のある、一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン・亜硝酸アミル・硝酸イソソルビド・ニコランジルなど)を使用中の方は、バイアグラを服薬できません。
急激な血圧低下を招くリスクが高く、重篤な疾患を引き起こす恐れがあります。死亡事故につながる可能性も否定できません。
塩酸アミオダロン(経口剤)を使用中
塩酸アミオダロン(経口剤)は、バイアグラと同じ効果をもたらすバルデナフィルと併用することにより、心臓に悪い影響を与える可能性があります。
バイアグラでも同じように身体に悪影響を及ぼす可能性が高いので、併用は禁止されています。
可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤(リオシグアト)を使用中
可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤(リオシグアト)は、肺動脈圧を低下させるcGMPの生成を促進する働きがありますが、バイアグラにも同じ効果が認められています。
従って、この2つを併用することにより、急激な血圧低下を引き起こす恐れがあるのです。
脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヶ月以内にある
脳梗塞などの疾患は脳内の血液循環を妨げることから、過去6ヶ月以内に脳梗塞や脳出血を発症した方はバイアグラを服薬することができません。
バイアグラの血管拡張作用は軽度の血圧低下を引き起こす可能性があることから、脳循環の流れを乱してしまう恐れがあります。
網膜色質変性症(進行性の夜盲症)がある
網膜色質変性症は夜盲で始まり、視野狭窄症や視力低下を経て最終的には失明につながる恐ろしい病気です。
網膜に分布するPDE6という分子に関わる遺伝子の異常が原因であることで知られていますが、バイアグラはこのPDE6にも多少の影響を及ぼすため、服薬が禁止されています。
バイアグラは自己判断で服薬しても大丈夫?
結論からお伝えすると、バイアグラは自己判断で服薬できる医薬品ではありません。なぜなら、バイアグラを処方してもらうには必ず医師の診察が必要なので、その時点で医師からのゴーサインがもらえなければ服薬できないためです。
どれだけバイアグラの必要性を訴え、自分はバイアグラを飲むべきだと自己判断を下したところで、医師が首を縦に振らなければバイアグラを入手することは不可能なのです。
「それなら、人からバイアグラを譲ってもらった場合はどうなるの?」
上記は一番厄介なケースです。ED患者がバイアグラを服薬した結果、薬なしでも正常に勃起ができるようになったとします。その際、処方されたバイアグラが残っていると下記のような行動を取ることが予測されます。
- お守りとして保存しておく
- もったいないので飲み切ってしまう
- 必要ないので処分してしまう
- 他人に譲る(売る)
バイアグラはほかの医薬品と比較すると高価な薬ですので、ただ捨ててしまうのは惜しいと考える方は多いです。その結果、バイアグラに興味を持っている方に流れてしまうのです。
医師から服薬NGを出された、そもそも医師の診察すら受けていない、このような方々は絶対にバイアグラを服薬してはいけませんが、好奇心や欲求を抑えられないこともまた人間の本質でしょう。不正な方法でバイアグラを入手した場合、後はその方の理性に託すしかありません。
自分に都合の良い安易な判断に身を任せないことを祈ります。
バイアグラを服薬して死亡するリスクはある?
結論をお伝えすると、過去にバイアグラを飲んで死亡した事例は存在します。
バイアグラには血圧を低下させるなどの副作用がありますが、その程度のことで人は死ぬのか気になるところでしょう。
バイアグラを飲む上での死亡リスクについて、詳しく見ていきましょう。
副作用による死亡リスク
厚生労働省には、医療機関から様々な情報が提供されています。その中で、バイアグラを服用後に死亡した男性の事例も存在します。
厳密にいえば、死亡原因とバイアグラの因果関係は解明されておりませんが、その男性について下記のような情報が公開されています。
- 高血圧・糖尿病・不整脈の治療中
- ニトログリセリン貼付剤等を使用中
- 医師に処方してもらったのではなく、友人からバイアグラを1錠譲ってもらった
バイアグラの使用禁忌の中に、ニトログリセリンを投与中の患者は服薬できないというものがあります。加えて不整脈などの持病もあることから、医師の診察を受ければほぼ間違いなくバイアグラの服薬を禁じられたと予測できます。
このように、医師の診察を受けずに不正な方法で入手したバイアグラを飲むという軽はずみな行いが、死亡事故という最悪の末路を導き出してしまったのでしょう。
偽造薬による死亡リスク
バイアグラの偽造薬による死亡事例も発生しており、注意喚起が促されています。
一般の医薬品と比べてやや入手難度が高いバイアグラ。EDという悩みを他人に打ち明けることが嫌で、病院を受診するのを億劫に感じる方も多いでしょう。
病院には行きたくはないけどバイアグラは欲しい。そんな人間の弱みにつけ込んで金儲けを企む人間は必ず存在します。バイアグラの偽物を製造して、希望者に売りさばいているのです。
現に、国内外を問わずバイアグラの偽装薬は大量に出回っています。通販サイトで手軽に購入できることから、バイアグラの処方を断られた方や、病院受診を嫌がる方にとっては願ったり叶ったりの状況というわけでしょう。
バイアグラは、日本国内の品質や安全性のチェックをクリアした医薬品ですが、偽造薬はそうではありません。配合されている成分も保証されておらず、服薬することで重篤な疾患を引き起こすリスクが非常に高いのです。
ED男性にとっては藁にも縋る思いなのでしょうが、命よりも大切なものはありません。偽造薬には絶対に手を出さないでください。
バイアグラを安全に服薬するには
バイアグラの使用禁忌に触れていなくても、定められたルールを破れば何らかのリスクが生じるものです。
EDというデリケートな悩みをノーリスクで解決するためにも、バイアグラを安全に服薬する方法をお伝えしていきます。必ずチェックしてください。
身体に異常を感じたら性行為を中止する
バイアグラを服用後、少しでも異常を感じたら速やかに医療機関を受診してください。効果がもったいないからといって、無理に性行為を続けるなど自殺行為です。
心血管障害により性行為自体が不当だと判断された方がバイアグラを服薬した場合、不整脈などにより命の危険に晒される恐れがあります。
用法・用量を守る
バイアグラには、1日の使用限度回数や、次の服薬までの待機時間などが定められています。多くの場合は、下記のとおりです。
1日の使用限度回数 | 1日の使用限度量 | 次の服薬までの待機時間 |
---|---|---|
1日に1回 | 25㎎または50㎎ | 24時間以上あける |
ルールを破ることによって副作用が出現するリスクが高くなり、場合によっては重篤な症状を引き起こす恐れがあります。
詳しくは医師や薬剤師に確認してください。
使用期限を守る
バイアグラに限らず、医薬品にも使用期限が存在します。食材でいえば消費期限と同じです。
期限を過ぎたものを服薬することで身体に何かしらの異常が発生する恐れがありますので、必ず期限内に飲み切るようにしてください。
アルコールの多飲はしない
バイアグラの効果を引き出すために少量のお酒を飲むことはありますが、決して飲み過ぎないように注意をしてください。
アルコールが勃起を促す成分を阻害してしまい、期待していた効果が得られない恐れがあります。薬もお酒も適量を守るようにしましょう。
バイアグラを飲んではいけない人は医師が決める
バイアグラを服薬するには、医師の診察を受けて処方箋を書いてもらう必要があります。
診察ではこれまでの既往歴や持病、現在内服している薬などが細かく確認され、バイアグラを飲んでも問題ないと判断されれば、晴れてEDの治療に取り掛かれます。
つまりバイアグラによるED治療が可能がどうか、全て医師の判断に委ねられるというわけなのです。
正規ルート以外での不正な方法でバイアグラを入手する方もいらっしゃいますが、身体に何かしらの副作用が出現するリスクを考慮し、自分は絶対に大丈夫などという甘い考えを捨ててください。
バイアグラが服薬できないからといって、EDを治す術がないわけではありません。治療薬に頼らずともペニスに勃起を取り戻す方法はありますので、自分に合った改善方法を試していきましょう。